久しぶりのブログの更新になりました。臨床心理士の河合です。今は世の中では話題がコロナウイルスのことでもちきりになっていますね。世界中の誰もが経験したことがなく、相手の姿も見えないことから、不安になったり、驚いたり、圧倒されたりしています。そんな中でも私たちの日常生活は確かに進んでいきます。こんな非常時の中でも、私たちが少しでも平静を取り戻す方法があるかどうか、臨床心理士の立場からできることを考えてみました。
現在の相手は、ウイルスです。あまりにも小さく、私たちの目ではとらえることができません。こんな自分たちに脅威を与える物事に対峙すると、私たちのこころと身体は、それらに対抗していつでも戦えるように、または逃げられるように、常にこころと身体を緊張させるようになります。このこころと身体の反応を「闘争ー逃走(とうそうーとうそう)反応」と言います。しかしながら相手があまりにも圧倒的だと、「コントロールを喪失している状態」になります。私たちはコントロールを喪失していると、元気がなくなり、いきいきと生活ができなくなってしまうのです。この状態はウイルスや自然災害だけではなく、なかなか良くならない病気や症状があるときにも、またさらに身近なところで言えば、苦手な人と一緒にいる時などにも共通します。
ではこんな状態の対処法というと、単純なことですが、「コントロールできることをコントロールする」ことがとても大切です。コントロールできないことには最初からそれを扱うことを止めて、まずは自分たちでコントロールできることを始めましょう。そして何かを始めたら自分の意思で終了させましょう。例えば部屋が汚ければ、部屋の机だけ掃除をするでもいいです。ご飯を食べるでも、身体を動かすでもいいです。両肩を上げてみるでも、3回程度10秒かけて呼吸をしてみるでもいいです。どんなに小さなことで構いませんし、自然と既にやっていることでもあります。これを続けることがコントロール感を育み、こころと身体を元気にすることにつながっていきます。単純な事ですが、そんなことが本当に効くのかと疑問に思うかもしれません。コロナウイルスに直接働きかけるわけではありませんが、少し視点を変えてみて、少しでも私たちの日常生活が豊かになることを祈っています。そして物理的な距離を取っていても、私たちが大切にしている人間関係はつながれるようにしたいなと思います。